業務考察

【行政書士開業直後の業務考察】建設業許可申請業務

行政書士の業務を紹介していきます。

開業後、どんな業務をメインにするのか、参考になれば幸いです。

今回は「 建設業許可申請業務」です。

難易度 ★★★★☆
報酬 ★★★★☆
オススメ度 ★★★★★

難易度等の記載について・・・試験的に記載していますので、他業務と比較して変動させる予定です。ご意見があればコメントまで。

 

建設業許可申請とは?

建設業とは、建物や工作物を作ったりする仕事で、建設業法上では29の業種に区分されています。

基本的に、一定額未満の工事を請け負う場合、許可は不要ですが、一定額以上の工事を請け負う場合は大臣又は都道府県知事の許可を取得する必要があります。

この許可を取得するのが建設業許可申請業務になります。

 

どんな手続き?

建設業許可が欲しいと相談を受けたら、まず許可を取得するためのハードルをクリアできるのかどうかを調査します。

例えば、経営業務管理責任者という建設業に関しての経営の経験があることの証明が必要だったり、

専任技術者という一定の資格や経験を持った人材の配置が必要だったり、

一定額の財産を証明したり、事務所があるかどうかの確認が行われたりします。

これら全て要件を満たした証明書や書類を作成し、申請窓口へ提出するのが建設業許可申請業務です。

 

想定される客は?

現時点で建設に関する業務をしている方です。

管理者や技術者に一定以上の経験が必要だったりするため、未経験でいきなり許可が欲しいといっても取得できません。

  • 大工さんや内装業者さんがそろそろ建設業許可が欲しい。
  • 建設業に近い業種を数年やっている会社が建設業を取得して業務の幅を広げたい。
  • 建築士事務所から、新築工事やリフォーム工事を受注したいので許可を取得したい。

といったケースが多いです。

 

建設業を取得している業者さんへ、更新や毎年の事業報告の営業をしたり、

不動産に関連する業者さんへ、建設業取得の営業を行うといいでしょう。

これらの事業者さんは、新しく事業を始めるお客さんの相談に乗ることが多いので、行政書士のお仕事が必要なお客さんを紹介してくれることがあります。

 

関連する申請

建設業を取得する事業者さんが、関連して取得することの多い許認可があります。

産業廃棄物収集運搬業

産業廃棄物収集運搬業は、主に工事現場など事業を行う現場で排出される廃棄物を集めて処分場へ運搬する業務です。

積み込む都道府県、持ち込む処分場がある都道府県、それぞれで許可が必要なため、一度で数件の受注が見込めます。

宅地建物取引業

宅地建物取引業(宅建業)は、不動産の取引をする場合に必要な許可です。

土地を買って区画に割り、家を建てて売る場合は、宅建業者に仲介を依頼するとしても、必要となります。

建設業とても相性がいい許認可と言えます。

建築士事務所の登録

建築士の業務を行うためには、事務所の登録が必要となります。

建築士はそもそも建物の建築に必要な設計図の作成や建築確認申請を行いますが、この確認申請から建物を建てる工事そのものは建設業の建築一式工事となります。

また、建物のリフォームやリノベーションを行う際は、建設業の内装工事業が必要となり、建物の新築工事から中古物件のリノベ工事まで、建築士の業務と密接な関係にあります。

建築士の資格そのものが専任技術者の資格要件を満たしているため、建設業許可を取得する事務所も多いです。

 

どんな準備をしたらいい?

① 都道府県ごとに申請の手引きが用意されているので、しっかり読み込むことが重要になります。

  • どんな要件があるのか
  • どんな資格が必要なのか
  • どんな書類を準備するのか

など、しっかり把握しましょう。

 

② 関連する法令を読む

以下の関連法令は一読しましょう。

  • 建設業法
  • 建設業法施行令
  • 建設業法施行規則

法令確認はe-Govポータルがおすすめです。

 

③ 申請書を作成してみる

手引きを読んだら、実際に申請書類一式を作成してみましょう。

事業者は○○建設など、自分で設定して手引きを読みながら申請書一式を作成してみます。

 

④ 実務研修を受講する

所属する行政書士会で研修があった際は積極的に参加することをオススメします。

ここで申請書一式を作成してみたことが活きてきます。

一度でも経験した状態で研修を受けることで、どこがわからないのか、何が重要なのか、など把握することができ、実務研修を受けた意味がでてきます。

 

⑤ 実務書を読んでイメージしておく

建設業許可申請に関する実務本を購入して読んでおくと申請までに必要な情報がイメージしやすくなります。

実務本は書店やAmazonなどで購入しましょう。

 

新規の許可取得後も申請がたくさん

建設業は新規に許可を取得する申請以外にも、多くの業務が存在します。

  • 更新
  • 業種追加
  • 変更
  • 事業年度報告
  • 経営事項審査

などがあります。

建設業許可は5年間有効なため、5年ごとに更新手続きが必要です。

業種追加は現在取得済みの許可がある業者が他の業種を追加取得するものです。

手続き的には新規の申請と変わりません。

変更申請は、事務所や代表者の変更など、変更事由が生じた際に申請書を提出する業務になります。

 

建設業を取得している業者は、毎年事業年度が終了した後、一定期間内に報告書を提出する必要があります。

これを怠ると、更新や業種追加ができないため、提出が必須となる重要な業務で、毎年提出が必要なため、行政書士の許認可業務の中では貴重な定期的に受注が見込める業務です。

 

経営事項審査は、市役所からの建設工事を受注するために必要な手続きです。

建設業者が受注するのは公共事業のため、経営がしっかりした業者にしか扱うことができません。

この証明をする手続きのことで、一定期間ごとに審査を受ける必要があります。

顧問先の申請を忘れてしまい、多額の損害賠償を負うことも十分ありますので、要注意です。

 

まとめ

建設業の許可申請業務は、建設業を行う業者が必要な許認可です。

そんなに需要が無いかと思われるかもしれません。

都道府県によっては許可を取得した業者の一覧をネットで確認することができます。

これを見ると、予想以上に新規で許可を取得している業者が多いことに驚かされるかもしれません。

 

また、この業務は行政書士にとって王道中の王道業務と呼ばれるものです。

それだけ競争率が高いので、新人行政書士には受注自体が難しいのが現状です。

一度新規で受注できれば、毎年の報告書、5年ごとの更新と、定期的な業務が見込めます。

 

-業務考察