私が実際に行った開業までのことや、初業務受任までをざっくりとご紹介します。
行政書士試験合格後
試験自体の出来はあまりにも手ごたえがなく、自己採点もしていなかったので、もちろんダメだろうという感じでした。
行政書士試験の合格発表日はすっかり忘れていて、たまたま仕事が休みだったのでネットをいろいろ見ていたら、合否の発表日当日だったと知り、ホームページから合格者の確認を行いました。
ホームページから受験地の掲示板へ行き、受験番号を追いかけていくと、なんと自分の受験番号があるではないですか!
もうその日は、驚きとうれしさでいっぱいだったのを覚えています。
そして、せっかく合格したのだから、行政書士として挑戦することを決意した日でもありました。
まずは事務所を準備
行政書士になるためにはどうしたらいいのか。
事務所を置く予定の都道府県にある行政書士会へ登録申請するわけですが、合格発表のあとに合否結果の通知と一緒に案内が送られてきます。
合格の場合は封筒、不合格の場合は合否内容のハガキしか来ないので中を確認するまでもなく、一発でわかります。
この案内を読んで、必要なものを集めていくわけですが、私はまず、事務所作りから始めました。
事務所を借りるか自宅に事務所を置くかということになりますが、全くの未経験から開業するのに数年は収入の目途が立たないだろうと思い、自宅に事務所を置くこととしました。
事務所については登録する県ごとに事務所についての基準があります。
玄関から直通で行ける独立した部屋であることがほとんどの県で採用されている基準の1つだと思います。
私の場合はちょうど自宅に物置き部屋があったので、そこをDIYでリフォームして事務所とすることとしました。
物置き部屋を片付け、和室を洋室化し、エアコンを購入して設置してもらい、デスクとイス、パソコン、プリンタなど事務用品を購入しました。
事務所については平面図を作成して登録申請に添付する必要があります。
必要なものを集める
登録申請をするために、必要な書類などを集める必要があります。
住民票や身分証明書、事務所の使用権原を証明するための書類などです。
事務所の平面図も作成します。
作成するには間取り図ソフトやエクセル、CADなどで作成することができます。
CADは業務で使用することになりますので、このタイミングで使い方を勉強しておくのもいいかもしれません。
CADは無料のJW-CADというものがありますので、ダウンロードして利用することができます。
また、職印という印鑑を準備します。
職印は行政書士の実印のようなもので、法人でいうところの代表者印です。
いわゆる士業は専用の印鑑を作成して業務の際に使用します。
行政書士が作成した書類には署名と職印による押印が義務付けられています。
県ごとに自分で準備するのか所属会で準備してくれるのか決められていますので、自分で準備する必要がある場合は決められた形とサイズのものを発注します。
名刺もこのタイミングで発注しました。
行政書士と名乗れるのは資格者証の交付式のあとからですので、行政書士と記載のある名刺は開業前の挨拶などで配布しないようにしなければなりません。
かかった費用はコチラ
登録申請
申請書類、必要なものの準備ができたら、県の行政書士会へ登録申請の予約をします。
資格の登録申請は、本人が事務所へ訪問して行う必要があります。
予約日当日は、忘れ物がないかチェックしてから、申請へ向かいました。
行政書士として申請業務を行っていると、行政書士登録申請が最初の申請業務だったなと思い出します。
ここで気を付けることは、申請書に記入する氏名や住所は住民票などの証明書に記載してある通りに記入するということです。
今後、申請業務を行う際も同様ですので、忘れないようにしましょう。
行政書士開業についてのブログを読み漁る
登録申請から登録が完了するまでおよそ1ヶ月程度かかります。
この間は、情報収集に努めました。
ただただ浮かれていて・・・ブログ読むことで開業後の自分をイメージして妄想に浸っていただけだったようにも思います。
正直なところ、開業してこういう業務をしたい。こんな仕事をしてみたい。
というのは全くなく、ついに行政書士になれる!とウキウキしていました。
浮かれてばかりもいられませんので、開業の準備も進めていく必要があります。
資格者証の交付式までは開業届の提出や、事務所口座の作成、ホームページをどうするかなど、これからやることなどを準備していきました。
登録~資格者証交付式に出席
登録が完了すると、登録完了の通知と一緒に、資格者証の交付式の日程が送られてきます。
この交付式に出席すると晴れて行政書士となることができます。
同じ日に同期となる行政書士と会うチャンスがありますので、名刺を準備して行き、挨拶や連絡先などを交換してきましょう。
実務研修に出席
交付式が終わり、行政書士としてスタートを切ったわけですが・・・
登録が完了すると、行政書士会が開催する実務研修に参加することができるようになります。
研修には基礎研修から実務研修や関連業務に関する研修など様々なものがあります。
特定行政書士の登録
特定行政書士は、行政書士が行った申請に対して不許可処分などが出てしまった案件について、
審査請求などの不服申し立て手続きの代理を行うことができます。
特定の登録をするためには、実務講習を修了し、試験に合格する必要があります。
行政書士試験合格者であれば、比較的簡単に合格可能です。
ただし、試験科目にない訴訟手続きについて勉強する必要があります。
実務では・・・特定行政書士とはいまのところ縁がないようです。
申請取次行政書士の登録
申請取次行政書士とは入国管理局への手続きを代理できる資格です。
主に外国籍の方の在留資格の手続きなどを本人に代わって申請します。
在留資格などの国際業務を行いたい場合は必須です。
実務講習を修了し、登録手続きを経て、資格者証(通称ピンクカード)を受領します。
事務所名、事務所所在地、登録番号などのゴム印を作成
手書きの申請書などにその都度記入していくのは面倒なので、ゴム印を作成しました。
現在は、電子申請やパソコンで申請書を作成するため、あまり出番はありませんが、
銀行口座の開設や事務所の契約など、準備しておくといいと思います。
事務所名や所在地など一体型もいいですが、オススメはそれぞれが独立しているセパレート式です。
一緒に押したいときにはまとめることもできます。
ちなみに、作成したものは
- 事務所名
- 事務所所在地
- 行政書士+自分の氏名
- 電話番号
- FAX番号
- メールアドレス
- 事務所ホームページのURL
- 自分の氏名のみ
- 申請代理人
というものを作成しました。
開業~開業届の提出、事務所口座を作成
行政書士として個人で業務を始める前に、開業届を提出します。
行政書士法人や個人事務所へ勤務する場合は不要です。
開業届は2通準備して、最寄の税務署へ提出し、押印をもらいます。
押印をもらった開業届がないと事務所名の銀行口座が開設できません。
個人名での口座でもいいですが、取引相手からの信用のためにも報酬受取口座として事務所名の銀行口座を作成しておくことがオススメです。
事務所ホームページを作成
開業届を提出したあたりで事務所のホームページを作成しました。
最初はホームページ作成ソフトを使用して自分で作成しました。
ソフトで作成したものはデザインが気に入っていたのですが、特定のパソコン以外では修正や記事の追加ができなかったため、結局ワードプレスを導入することになりました。
ソフト代が無駄だったなと反省することになりました。
初業務
私の行政書士としての初業務は友人からの紹介でした。
守秘義務があるので詳細は書けませんが、訪問してヒアリングを行い、必要な事項を調べて迅速に対応することを心掛けました。
何もかもが初めてのことで戸惑いましたが、無事、依頼をこなすことができました。
ほぼ全ての業務が初めてのことになります。
業務について聞ける人を見つけておくのが大切になるため、所属の会の行事などには積極的に参加して人脈を広げるのが重要です。
書類の書き方など、わからないことは行政の担当者へ相談するといいと思います。
あまりに聞きすぎてたまに笑われますが・・・ほとんどの担当者さんは親切に教えてくれます。
開業して
開業して業務をしていくと気が付くのが、行政書士と名乗ると市役所などの職員さんの対応がとてもいいということです。
行政書士として活動している諸先輩たちが作り上げた信頼関係だと思います。
窓口でうなり散らす行政書士もみかけますが、こういった行政側との信頼関係も台無しです。
相手に気持ちよく仕事をしてもらうことが、自分の利益にもつながります。
最初はなかなか仕事がない状態が続きますが、人脈を広げていくとポツポツと業務の依頼が増えていきます。
結局人との繋がりが大事なんだと思わされる仕事でもあります。