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宅建士×行政書士は本当にオススメなのか?

宅建士と相性がいい国家資格として行政書士が挙げられます。

理由は、試験では試験科目で同じ分野があるからです。

 

また実際の業務では宅建士の試験科目が役に立つ場面が多くあります。

例えば風営法関係の申請や、深夜酒類提供飲食店の申請、民泊などの旅館業関係の申請、開発許可の申請など、

土地や建物が要件となっている申請ではたびたび宅建士の受験科目が登場します。

宅建業を始める際の申請も行政書士の業務です。

また、相続の仕事では不動産の処分などの業務として宅建業と相性がいいと言えます。

 

行政書士+宅建士は本当に相性がいいのか

というのも

行政書士の資格を使って業務をするためには実質的に独立するしかありません。

行政書士事務所、行政書士法人に勤務する方法もありますが、求人はほぼ無いと思ってください。

 

また、企業内で行政書士の資格を使用することができないことが会則で定められているため、一般企業内で行政書士業務はできません。

日本行政書士会連合会会則

(名義貸等の禁止)

第 61 条 単位会の会員は、 自ら業務を行わないで自己の名義を貸与し、その者をして業務を行わせてはならない。

2 単位会の会員は、法人等他の者の名において、業務を行ってはならない。ただし、次の各号に掲げる場合を除く。

一 行政書士法人の社員である会員が、その所属する行政書士法人の名において業務を行う場合

二 行政書士又は行政書士法人の使用人である会員が、雇用されている行政書士又は行政書士法人の名において業務を行う場合

このため、一般企業に勤務している場合、行政書士と名乗ることもできません。

仮に行政書士登録を済ませていたとしても、名義貸しに当たる場合があるため、名刺に行政書士と記載するのもやめたほうがいいでしょう。

 

宅建士の独占業務は重要事項説明書(以下、重説)の説明と、重説及び契約書への記名押印義務です。

そのため、宅建士の資格を使って業務をするためには宅建業者に従事する必要があります。

しかし、宅建業者に勤務している状態では行政書士の資格は使用できません。

 

副業と言う形で活動する手段もありますが、宅建業者での業務中に自分の事務所業務ができるでしょうか?

企業に勤務中に他の企業の仕事をするようなものです。

勤務時間中に他の会社の仕事をしていい会社ってあるのでしょうか。

 

行政書士と宅建士の資格を両立させる

行政書士と宅建士の資格を両立するためには、「独立開業して宅建業の免許をする」というものすごいハードルが存在します。

 

それぞれの独立費用は・・・

行政書士の登録費用は約30万円と、年会費の7~8万円です。

宅建業の免許の取得費用は約200万円です。

事務所を借りるとなるとさらに事務所維持費や水道光熱費がかかります。

 

しかし、両立できればかなりのメリットがあります。

例えば、相続業務を受任した場合で、不動産についての依頼を受けた場合は、自分の業務として不動産仲介を行うことが可能です。

農地を売買したい相談には、土地の売買契約の仲介(宅建業)と農地転用の手続き(行政書士)を行うことが出来るようになります。

 

また、飲食店を始めたい。

といった相談を受けた際には、店舗探しの仲介業務から、飲食業の許可申請までワンストップで受任することができるのです。

許認可に強い不動産業者として相乗効果が得られます。

店舗の賃貸借契約を仲介して、飲食店の営業許可まで業務として行うことができるというわけです。

 

さらに・・・行政書士なら、宅建業者だけではできない契約書作成業務を行うことができます。

宅建業者は売買(賃貸借)契約書作るよね?

と思うかと思いますが、宅建業法で「書面を交付しなければならない」と定められているためで、これのみを有償で行うことができません。

宅建業はあくまで仲介による手数料をいただくことが可能な業務です。

一方、行政書士は仲介による手数料はもらえませんが、契約書など権利義務や事実の証明となる書類の作成を行うことができます。

もちろん、契約書の作成に限らず、平面図などの図面作成も行政書士の業務となります。

 

知識のみを活かす場合

どちらかの資格での業務の中で他の資格の知識を活かして業務に役立てるという方法は確かに有効です。

行政書士として宅建士の知識を活かす。

宅建士として行政書士の知識を活かす。

の両方について説明します。

行政書士で独立開業して宅建士の知識を活かす

冒頭でも触れた通り、行政書士業務の業務の中には不動産知識がある程度あったほうがいいものがあります。

 

許可が取れる見込みがないのに仕事を受けると、いくら頑張っても報酬を得ることができません。

そのため、業務を受任する前に受任できるかどうかの調査を行います。

このときに宅建士の知識が活きる場面があります。

 

宅建士の受験科目には都市計画法や建築基準法があります。

この土地にはどんな業種が始められるか、のような知識は活かすことができます。

 

また、農地法も宅建士の試験科目です。

農地転用の申請業務は行政書士の独占業務の1つのため、ここでも宅建士の知識を活かすことができます。

宅建業者に勤務しながら行政書士の知識を活かす

ハッキリ言ってこれは無理です。

そもそも、行政書士の試験科目は行政書士の実務と直結していないからです。

行政書士の試験科目は憲法・民法・行政法・商法、会社法・一般知識ですが、行政書士の行う許認可業務はその許可ごとに、法律があり、条例があり、規則があり、これらを読み込むことが必要です。

 

例えば宅建業の許可取得であれば宅建業法やこれらの施行規則などの知識が必要です。

行政書士試験ではあくまでこれらの法律などを読み込むための基礎知識を問われるにとどまります。

したがって、いくら行政書士の試験に合格したとしても、業務を実際に行っていない状態では、その「知識を活かす」ことはできません。

 

行政書士+宅建士は有利かどうか

行政書士が宅建士を取得して業務の幅を広げるという場合はかなり有効と言えます。

しかし、宅建士として勤務しながら宅建士の次のステップとして行政書士を取得するというのは、独立するのでなければあまり意味がありません。

 

宅建士のステップアップとして行政書士が挙げられます。

宅建士の受験科目の1つに民法があり、行政書士の科目の1つと同じため、勉強しやすいから。

と勧められますが、宅建士と行政書士の民法だけでも難易度が倍以上に差があります。

いわゆる士業の入門的な資格として行政書士を勧められますが、生半端な気持ちで挑むと時間の無駄に終わりかねません。

宅建士として勤務しながらでも、本気で行政書士の取得を目指すのであれば、独学よりも資格学校の選択がお勧めです。

 

ただ単に、宅建士としてステップアップをしたいのであれば、業務に関連する住宅ローンアドバイザー、賃貸不動産経営管理士などを取得するほうが実は効果的です。

 

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