よく行政書士は就職や転職に不向きな資格と言われます。
実際に有利か不利かと言われれば不利と言えないが有利にはならない。と言えます。
就職・転職に有利な職業とは何か、行政書士の場合はどうかという観点から解説します。
就職・転職に有利な資格とは
そもそも、資格が転職に有利かというのはどういったことを指すのでしょうか。
それは、その資格が企業に求められているか(需要があるか)ということです。
企業が求める人材のうち、特定の資格を持った人材はやはり需要があります。
これは、特定の資格を持った人材がいないと事業が成り立たないような場合です。
そのため、特定の資格を持った人材というのは、就職先に困ることがないため、転職に有利な資格と言えます。
業務を行ううえで、国や都道府県、市町村の許可が必要なものがあります。
建設業や運送業、宅建業などがこれにあたります。
そして、許可を取るための要件として一定の国家資格を有しているものを配置する必要があるものがあります。
例えば、建設業では許可の取得条件に専任技術者の配置が必要ですが、建築士や施工管理技士などの資格を持った人材がいれば、専任技術者として配置が可能です。
また、不動産仲介会社である宅建業者は必ず専任の宅建士を1人以上置かなければならず、雇用することができる従業員5人のうち1人は宅建士でなければなりません。
不動産仲介業務の書類には宅建士が記名押印しなればならず、宅建士がいなければ事業継続も不可能です。
一般企業から見た行政書士という資格の需要
結論から言ってしまうと、残念ながら、行政書士を欲しいという一般企業はありません。
行政書士がいないと困る事業というものもありません。
そもそも行政書士は、企業内行政書士ということが認められていないのです。
一般企業に勤務して、その従業員として行政書士の資格を使って業務を行い、企業が報酬を受けることが行政書士の会員規則によって禁止されています。
行政書士として業務を行うためには、行政書士法人や行政書士事務所に就職するか、開業するかのどちらかしか選択肢がありません。
しかも一般企業に比べて新規で行政書士を募集している行政書士法人や行政書士事務所はほとんどありません。
ハローワークや転職サイトなどを覗いてみるとわかると思います。
そのため、行政書士という資格が就職や転職に有利となるかというと有利になるとは言えないことになります。
他士業にあって行政書士にないもの
弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士などにはあって、行政書士にないものがあります。
それが就職という選択肢です。(もちろん、普通に就職はできますが、行政書士として就職するという意味です)
行政書士が食える、食えないの問題となると、必ずと言って行政書士は食えない。と言われます。
行政書士としての就職という選択肢がないのが1つ大きな理由です。
他士業は資格で就職できたり、資格手当がもらえたり、企業内での評価される部分がありますが、行政書士はありません。
また、行政書士となるためにはほとんどの人が試験を合格して、行政書士に登録し、開業します。
そして、そのほとんどの人が未経験です。
行政書士試験の科目は実務に直結していない(間接的には関連していますが)ため、試験に合格すれば業務ができるということもありません。
行政書士になることと開業することは違う
行政書士となり、いざ開業してみると・・・仕事はありません。
駅前に立派な事務所を構えたところで、誰も来店しません。
名刺を配って開業の挨拶周りをしたところで、依頼も来ません。
何も知らずに開業してみると、こういった現実に直面します。
これが行政書士は食えないという理由です。
弁護士や司法書士、税理士などは、まず就職し、実務経験を積んで独立する。
という道があります。(多くの人がこのルートを通ります)
行政書士はいきなり開業なので、何をやったらいいのか、わからないのです。
行政書士をやらない
行政書士の業務をやらないという意味ではなく
行政書士という資格者をやらないことが大切です。
行政書士の業務はとても幅広く、行政書士=これをしてくれる人と言うイメージがありません。
行政書士はあくまでツールで、事業を始めて収益を得ることの計画を作るべきです。
どんなサービスを、誰に売るのか。
どうやって集客するのか。
ビジネスを始めるという意識が重要です。